日別アーカイブ: 2022年4月11日

アメリカでも看護師不足→調べていたら勢い余って論文を訳していた。

Nursing Shortage(看護師不足)でググってみたところ、こういう論文が出てきた。日本と同じようなことが書いてある。

アメリカでも看護師不足や、労働環境等の悪さ、そして高齢化が問題視されているように思われる。一つの論文を読んだだけに過ぎないが、感覚的には実際に現場で起こっているんだろうな、と思ってしまう。

Nursing Shortage

【参考サイト】Nursing Shortage

<Table of Contents>

Definition/Introduction

Issues of Concern
Aging Population
Aging Work Force
Nurse Burnout
Career and Family
Regions
Growth
Violence in the Healthcare Setting

Clinical Significance
Staffing Ratios

Nursing, Allied Health, and Interprofessional Team Interventions
Technology
Empowerment

Definition/Introduction(定義と序章)

  • 看護師は医療分野におけて欠かすことができない存在で、医療従事者の中で最大のセクションを構成している。
  • World Health Statistics Report(世界保健統計報告書)によると、世界には2,900万人の看護師と助産師がいて、うち390万人がアメリカにいるとされている。
  • また、同書によると、1年で100万人以上の看護師が追加で必要になるとも試算されている。
  • The American Nurses Association (ANA, アメリカ看護師協会)によると、2022年まで、アメリカで他の職業よりも多くの正看護師の仕事がある模様。
  • Nursing Times の記事によると、アメリカ労働統計局は、2020年から2030年までに、275,000人以上の看護師が追加で必要になると予測している模様。
  • 看護師の雇用機会は、2016年から2026年まで、他の職業よりも速い割合(9%)で成長すると予測されている。

Issues of Concern(懸念事項)

看護師は、「養育者の不足」、「高い離職率」、「労働力配分の不公平さ」などから、不足が続いている。看護師不足の原因は多岐にわたり、懸念される問題である。以下に、その理由を説明する。

人口の高齢化

全体として高齢化が進んでおり、団塊の世代が医療サービスの必要性を高める時代に突入している。今日、アメリカでは65際以上の高齢者が歴史上最も多くなっている。2029年、ベビーブーム世代の最後の世代が定年を迎え、65際以上のアメリカ人が73%増加し、2011年の4,100万人に対し、2910年は7,100万人となる。

人口の高齢化に伴い、医療サービスへのニーズは高まっている。現実には、高齢者は通常1つの病的症状にあるのではなく、多くの診断や併存疾患を抱えており、治療を要する場合が多い。全体的に人口は長寿命化しているため、医療サービスの利用も増加している。かつて末期だった疾患の多くが、現在では長期的に生存可能なっている。これらの長期的な病気の治療は、労働力に負担をかけている。

労働力の高齢化

医療サービスによって人口が高齢化しているように、看護師もまた、その人口と同様に高齢化が進んでいる。現在、50歳以上の正看護師がおよそ100万人いるが、これは労働力の1/3が今後10〜15年で定年であることを意味する。この数字には看護師教員も含まれており、少ないリソースでより多くの看護師を育成するという独自の問題もはらんでいる。看護学部の教師も不足しており、それが入学者数の制限につながり、看護学校が育成できる看護師数の制限にもつながっている。教師の減少や制限は、看護学生の減少の原因となり、その結果、プログラムや授業の全体的な質の低下につながる可能性がある。

看護師の燃え尽き症候群

卒業して働き始めた看護師の中には、この食魚うは自分が思っていたものとは違うと思う人もいる。また、しばらく働いて、燃え尽き症候群となり、離職する人もいる。看護師の離職率は横ばいになってきているが、それは何年も率の上昇を続けた結果である。現在、離職率の全国平均(全米平均)は、8.8~37.0%で、地域や看護の専門分野によって異なる。

キャリア(昇進昇格)と家族

さらに、看護師はまだ女性が多い職業であることから、出産を機に仕事を減らしたり、辞めてしまったりするケースが多いことも、看護師不足の一因となっている。復職する人もいれば、転職する人もいる。

地域

現在の不足と潜在的な成長は、アメリカの地域や区域を個別に見ると混乱することがある。いくつかの地域はナースが余っていて潜在的な成長も低いが、他のエリアは地域住民の基本的ニーズを全体として満たすのに苦労している。

看護師不足の金額も、地域によって大きく異なる。看護の専門分野によって、高い不足が地域によって見られる。重症看護師、分娩看護師、その他の専門職が、本当に不足している地域もある。

成長

アメリカでもっとも成長が見込まれるのは西武および山岳地域で、北東部および中江支部では成長が鈍化すると予測されている。定年者の多い地域えは、より高いニーズが見られている。これらの違いに関わらず、全ての州で、2022年までに少なくとも11%の成長が予測されている。

医療現場での暴力

医療現場での暴力は、看護師不足の一因となっている。精神的、身体的虐待の脅威が常に存在し、すでにストレスの多い環境に拍車をかけている。医療従事者の身体的そして肉体的な健康を損なうため、仕事への満足度や努力に悪い影響を及ぼしている。救急医療や精神科の看護師は、その患者人口から高いリスクにさらされている。

2008年から2009年に実施されたポーランドの研究によると、看護師は医療現場に関して最も攻撃に脆弱な職業であると結論付けられている。大きな声で話しかけられるという言語的虐待が、看護師が受けた最も多い虐待の形態だった。入院患者の看護師の方が、外来患者の看護師よりも、多くの侮辱を受けた。

医療従事者は全世界で暴力の高いリスクにさらされており、8〜38%が自分のキャリアの中で何かしらの暴力に苦しんでいる。

Clinical Significance(臨床的意義)

これら全ての潜在的な理由により、看護師の離職率が高まっており、その結果、人員比率に影響を与えている。人員比率は臨床的問題となる。

人員比率

臨床看護師(ベッドサイド看護師)が、マネージャの代わりに、看護師と患者の比率の許容基準を実際に決めることは、仕事の満足度や高い定着率、離職率の低下につながる。適切な人員配置は、エラーを減らし、患者の満足度を向上させ、看護師の定着率を向上させる。

看護師不足は、エラーや罹患率、死亡率の上昇につながる。患者対看護師率の高い病院では、看護師が燃え尽き症候群や不満を経験し、患者対看護理室の低い施設よりも、高い死亡率や救出失敗率を経験している。一部の州では、患者対看護師率を制限する法律が制定され始めているにもかかわらず、人員が不足すると必要性を満たすために比率が上がる。

看護、アライドヘルス(コメディカル)、および専門家連携チームによる介入

テクノロジー

電子カルテ(EMR)の導入や他の技術的進歩も、看護師の就職に影響を与える可能性がある。看護情報学のような専門分野がブームになっている一方で、看護師が直接患者を診る現場からいなくなることで、不足の問題を後押ししている。ベテラン看護師の中には、技術に苦労し、早い段階で離職してしまう人もいる。

エンパワーメント(権限委譲)

組織は、患者に最善かつ安全なケアを提供しながら、看護師のニーズに応えるために、創造的でなければならない。看護師の若返りと維持のために、看護師に権限を与え、やる気を起こさせる環境が必要である。ハイボリュームと急性期を考慮した人員比率の決定における自立性に権限を与えることで、燃え尽き症候群や強い退職願望の減少につながる。優れた看護プロセス、高い安全性、品質、患者満足度を提供するために、多くの組織が Magnet Certification(ANCC, American Nurses Credentialing Centerの資格)を支持し、求めている。

【ANCC】Magnet Recognition Program