【読書メモ】アートイノベーション

◆著者
中津 良平、土佐 尚子、巽 庸一朗

◆感想
・残念ながら、あまりおもしろくなかった
・著者の考えるアートやアート思考等についての記載や美術史に関する
 記載があるのは一つの意見や一つの情報として参考になるが、論理が
 飛躍していたり偏っていたりして、稚拙な感じを否めなかった。
・著者の仮説に至るプロセスが浅いため納得感もなかった。
・期待しながら読んだだけに、少し残念だ。

<もくじ>
序論
第1章 21世紀におけるビジネス
第2章 デザイン思考とその限界
第3章 アート思考とアートイノベーションの本質
第4章 アートとはなんだろうか
第5章 アート思考、アートイノベーションの方法論
第6章 アートイノベーションの実施例
第7章 ビジネスへの応用の実例
あとがき
参考図書・文献

◆第2章:
・デザイン思考は問題解決型

・スペキュラティブ・デザイン
 Speculative=思索的
 イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートのアンソニー・ダン
 教授が提唱
 「未来は後もあり得るのではないか」という憶測を提示し、問を想
 像するデザインの方法論。
 問題解決型のデザイン思考に対して問題提示型の考え方。
 
・アーティスティック・イノベーション
 アーティストの考え方を企業組織に取り入れることで、企業に新し
 い動きや変革を引き起こすこと。
 具体的には、ビジネスの実際のプロセスにアーティストを参加させる。
 

◆第3章:
・マーシャル・マクルーハンのグローバル・ビレッジ
 世界規模の村社会
 村社会における人々の生き方は、感情が優先され、その上に立った
 人同士のつながりが重視される。

・企業は生き物である
 1)現在の環境に最適に合致した行動をとる。
 2)現在の環境が変化することに常に備える。

・グローバルマーケットの変化?
 1)時代は論理から感性へと写っていく
 2)論理と感性の高いレベルで統合が必要

・アート・イノベーション
 会社における日常業務→会社を通じて生きがいを実現
 → 会社における非地上業務と会社を通じた自己実現を一体化させ、
   ビジネスにイノベーションを起こす
 → それは自分の生き方にイノベーションを起こすことでもある

◆第4章:
・コミュニケーションとしてのアート

・インタラクティブ・アート
 作品を通してアーティストに情報をフィードバックすることができる
 アートの形態。アーティストと受け手の立場が平等になる。
 コミュニケーションの形態が、作品→受け手という従来の一方向でな
 く、双方向になる結果として、アーティストと受け手の立場が平等に
 あるという意味で、新しいアートと言える。
 1990年代に一度大きなブームとなった。ただし、単なる鑑賞者と
 してのみ意識していなかった人々が多く、受け入れるには時期尚早だ
 ったようで、アーティストの意図を十分に表現できるインタラクティ
 ブアートがすくなったこともあり、徐々にブームが冷めていった。
 最近、鑑賞者のインタラクションに応じてアート作品が変化するイン
 タラクションアートが出現してきた。チームラボは、自然の美しさを
 草木や鳥などの動物で表現し、それらの動きが鑑賞者のインタラク
 ションによって変わるインタラクティブアートを展開している。

・人間の生存戦略
 1)現在の環境に、より適合していく
 2)環境が変化しても進化することで適合していく

・美とはなにか
 美は個人・時代によって異なる。
 マルセル・デュシャンの泉は、芸術の概念や制度自体を問い直す
 作品として現代アートの出発点。
 美は人類の進化に基づいている
 

◆第5章:
・問題意識

・第1段階:発想
 新しいアート制作や日自演巣に関する発想を作り出す。
 人間の考え方・行動には、必ず論理と感情が混在・融合している。
 
・第2段階:調査
 具体的にどのような作品を作りたいか、ビジネスを始めたいかという
 発想が得られたら、次の段階として調査を行う。
 アーティストとして作風を決めることは自分の存在価値を見出すと
 同意であるくらい重要。よって、アートの歴史や過去のアート作品を
 勉強することは極めて重要。

・第3段階:制作
 自分の直感・感性に基づいて発想したものを作り上げる段階。
 
・第4段階:意味付け
 アプトプットされたものを、言語を使って理由づけや意味づけを
 行う段階。作り上げたアート作品が、アートの歴史の中でどのよう
 な位置付けにあるのか、また現代アートの中ではどのような位置付け
 にありなぜ新しいのかを、言語で説明することが必要。
 新しい美はまだ人々に受け入れられているわけではないため、言語に
 よる論理を交えた説明によって初めて、人々はそのアートを提示する
 新しさを理解できる。そうして、人々の日に対する感性そのものを
 変えていく。これがアートの力。
 アート思考には、感情・感性と論理の高い次元での融合が不可欠。

◆第6章:
・アートとテクノロジの融合プロジェクト
・アーティスティック・インターベンション
 デザイン思考を超える方法論として、ビジネスのプロセスにアー
 ティストを参加させることによってイノベーションを引き起こせ
 るのではないか、という考え方。